プロンプトエンジニアリングとは
- AIに対して効果的な指示を出すための技術・方法論
- 目的:AIから望ましい回答や成果物を得るための入力設計
- 重要性:
- 同じ質問でも表現方法で回答が大きく変わる
- AIの能力を最大限に引き出すための鍵
- 法務業務の効率化・品質向上に直結
効果的なプロンプトの基本要素
1. 明確な指示
- 具体的なタスクや目的を明示
- 曖昧さを排除した表現
- 例:「契約書を要約して」→「この賃貸借契約書の主要条件を5つのポイントで要約してください」
2. コンテキスト設定
- 背景情報の提供
- AIに役割を与える
- 例:「あなたは企業法務の専門家として、以下の契約条項の問題点を指摘してください」
3. 出力形式の指定
- 回答の構造や形式を明示
- 例:「箇条書きで」「表形式で」「法的リスクを高・中・低で評価して」
4. 制約条件の設定
- 文字数や専門性レベルの指定
- 例:「300字以内で」「法律の専門家ではない人にもわかるように」
プロンプトパターン
1. ロールプロンプト
- AIに特定の役割を与える
- 例:「あなたは知的財産権の専門弁護士です。以下の特許明細書を分析し...」
- 効果:専門的な視点からの回答を引き出せる
2. ステップバイステップ
- 複雑なタスクを段階的に指示
- 例:「以下の手順で契約書を分析してください。1.当事者の義務を特定 2.リスク条項を抽出...」
- 効果:構造化された詳細な回答を得られる
3. フォーマット指定
- 出力形式を明示的に指定
- 例:「以下の形式でレポートを作成してください:概要/リスク分析/推奨事項」
- 効果:一貫性のある構造化された回答を得られる
4. フューショット(Few-shot)学習
- 例を示してから同様のタスクを依頼
- 例:「以下は良い契約書要約の例です:[例]。この形式に従って次の契約書を要約してください」
- 効果:AIが例から学習し、期待通りの形式で回答する
法務業務向けプロンプト作成のコツ
1. 専門用語の適切な使用
- 法律用語を正確に使用
- 必要に応じて定義を含める
- 例:「『重大な契約違反』とは、本契約の目的達成を著しく妨げる違反を指します」
2. 法的文脈の明確化
- 適用法域の指定(日本法、米国法など)
- 関連法令や判例の言及
- 例:「日本の会社法に基づいて、以下の株主総会議事録の問題点を指摘してください」
3. 倫理的・法的制約の認識
- 法的助言の限界を認識
- 機密情報の取り扱いに注意
- 例:「これは法的助言ではなく、一般的な情報提供として回答してください」
プロンプト改善のプロセス
- 初期プロンプトの作成
- 回答の評価(正確性、有用性、形式など)
- プロンプトの修正・詳細化
- 再試行と比較
- 最適なプロンプトの保存と再利用
次回予告:主要なAIサービスの概要
- OpenAI(ChatGPT、GPT-4)
- Google(Gemini)
- Anthropic(Claude)
- Microsoft(Azure OpenAI)